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[バスケットボール]

2016年12月22日

技術をカラダで覚える・・・ということ

技術をカラダで覚える・・・ということ

スポーツだけでなく楽器の演奏や単純作業など、幅広い技術の話をするときに使われる「身体で覚える」という言葉。
よく使われる言葉ですが、そもそも身体で覚えるとはどういうことなのでしょうか?
そのことから解説します。
「身体で覚える」を、よりわかりやすく言い換えると「無意識に、スムーズにその運動ができるようになる」ということですね。
これには、実は小脳が深くかかわってきます。
無意識でスムーズにできる運動は、小脳が記憶した運動と言っても過言ではありません。
パッと言われてもイメージしにくいと思いますので、例をひとつ挙げましょう。
皆さんは自転車に乗ることはできますか?
気が付いたら乗っていたという人もいるかもしれませんが、おそらく一度か二度は練習をしているはずです。
初めてペダルをこいだとき、ただ「右足に力を入れて」こぐだけでは自転車ごと右に傾いてしまいます。そこで何とかして「重心を真ん中に持っていく」動きをすると思います。
はじめはそれを大脳を使って「考えながら」おこないます。
そして何度か転びながらもその練習をしていくと、そのうちペダルをこぎながら重心を安定させる自分なりの感覚が出来上がってきます。この時点で「考えながら」やらなくても無意識にできるようになります。
実はその過程で小脳が活躍しているんです。
大脳から発せられた命令をおこないながら、その運動の結果(転ぶ、自転車が傾くなど)は小脳にフィードバックされ、その情報をもとに小脳が最適な重心のかけ方や各筋肉の連動した動きを調整していきます。
そうしてその運動に適した運動指令のモデルを小脳内に作っていくのです。
これは小脳の「内部モデル」と呼ばれていて、これが構築されることがいわゆる「身体で覚えた」ということとイコールと考えてよいです。

「身体で覚える」ためのイメージの取り入れ方

それではこの内部モデルをより効果的に構築するにはどうしたら良いか、考えていきましょう。ポイントは以下の5つ。
• まずは実施することが最優先
• 客観イメージを筋感覚イメージに変換する
• 同じことをずっとやらないほうがいい
• 道具があるなら道具を持って
• 見本が見られるなら見本を見ながら

まずは実施することが最優先

小脳の内部モデルは、実際に運動を行った時の自分の筋感覚や視覚情報を取り込んで運動を調整していきます。
まずはとにかくやること。これが重要になります。
そのとき、「肘はたたんで」とか、「ここに力をいれなさい」など、あれやこれや細かくポイントを聴くことにあまり意味はなさそうです。
すでに一定期間練習をしていて自分の筋感覚を説明できるのであれば話は別ですが。練習の初期には実は意味がありません。
理由は、言われても結局イメージができないから。
指摘されるポイントが多くなればなるほどそれは余計に難しくなります。まずは見本を見せて実際に行ってもらう、これにつきます。
真似、模倣から入るのが一番確実です。
最初はとにかく繰り返し練習して、内部モデルに情報を取りこむことが重要になります。

客観イメージを筋感覚イメージに変換する

その運動を一度もやったことがない時は、それをイメージするとしても「客観イメージ」でしかできないことになります。
しかし、それと似た運動をしたことがあった場合、見本を見せてもらったその場で、その見本を客観的に見ている「客観イメージ」から実際に自分が行っている時の「筋感覚イメージ」に変換ができる場合があります。
これを転移と言ったりします。
実際、私が院生時代のころに遊びで卓球のダブルスをしていた時、ペアの人がやたらうまかったのでやったことあるのか聞いたら、卓球経験はないが、テニスをやっていて「スイングの感じがすごく似ている」と言っていたことがありました。
まさに転移が起こっていたわけですね。
ちなみに、いわゆる「運動神経がいい人」というのは見たものをすぐにうまく真似できる人といえると思いますが、この人たちは「客観イメージ」を「筋感覚イメージ」に正確に変換できる能力が高いと考えられます。

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